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2006年2月

2006年2月20日 (月)

アレルギー検査

昨日の日曜日は学術セミナー出席の為、診察時間を1時間繰り上げ12:00で終えました。連絡が行き届かず、ご迷惑をかけた飼い主様方にこの場を借りてお詫び申し上げます。

セミナーのテーマは『外耳炎』と『栄養と皮膚病』。

講演の中で、アトピー性皮膚炎の治療の話を東京農工大学の岩崎教授がされました。治療に関わる栄養と言う点では、脂肪酸製剤(当院ではビアクタンプラスを使用)があげられます。基本的に完治しない慢性疾患のアトピー。いかに薬(特にステロイド剤)の副作用を出さずに皮膚の管理をしていくかがポイントです。

アトピーの治療の前には診断が必要です。アトピーの診断は、①まず感染症(ダニ,細菌,真菌)でないことを確認します。感染があれば、まずそれを治療。②病歴、発症部位、皮膚の状態、年令、犬種などを考慮して、診断。

そう、いわゆるアレルギー検査はアトピーの診断には役に立たないのです!!

これは人でも同じです。人でもアレルギー検査はあくまで参考項目です。

当院へ転院されて来られるアトピー性皮膚炎と思われる犬は何頭かいます。アトピーと言われていたが、アトピーではない犬もいます。

最近多いのが、「アレルギーの検査をして、この子は牛肉とスギ花粉があかんねん」などとおっしゃる方々。全て獣医師の責任なのですが、間違った情報に踊らされています。先程書いたように、アレルギー検査でアレルギー物質のある程度の特定は出来ても、アトピー(アレルギー)の診断は出来ないのです。さらに、食物アレルギーに関しては、その特定自体も信頼性が無いのです。食物アレルギーの診断は『除去食試験』という方法によってのみ診断されます。

2~3万円もの検査費用を出して、分かったことは○○にアレルギーを持っているかもね。という事だけで、あとの治療にはほとんど役に立たないのです。しかも食物の項目に関しては信頼度ゼロ。はっきりアレルゲン(アレルギーの原因となっている物)が分かったとしても、食物以外の検査項目で取り除くことが出来るのはノミくらい。スギ花粉だと分かったところで『スギ花粉に気をつけて』と言われてもどうしようもないでしょう。

それでは何故アレルギー検査があるのでしょう?

それはずばり、『減感作療法』を行う時のためです。それ以外でこの検査を行うのは、何となくの興味や何か原因をはっきり形で出したいという欲求でしょうか。

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2006年2月17日 (金)

足あらい。清潔=体に良い?

犬を室内で飼う家庭が増えたことはすごく喜ばしいことですが、土足で家に上がらない日本人にとって犬が散歩から帰ってきた時にもそのまま上がる事を極端に嫌う方も多くいらっしゃいます。

最近できているペット同居可の分譲マンションでは、その入り口に足洗い場があるほどです。散歩から帰ったら、大して汚れていなくても毎日足を洗っている方もよくいらっしゃいます。アレルギーや暇つぶしで足を舐める犬もいますが、よくよく聞いてみると毎日足を洗っている為、指の間が常に湿った状態になり指間皮膚炎になっている犬もいます。

先進国では腸内寄生虫を退治した為に花粉症などのアレルギーが増えたというのも事実のようです(アレルギーが増えたのはこの為ばかりではありませんが)。重度のアトピー性皮膚炎は無理にしても、軽度のアレルギー(花粉症など)では寄生虫を『飼う』ことで、よくなるのかもしれないですね。犬のアレルギーも確実に増えているので、回虫を退治せずに飼わせておく方が良い?と、ふと思ってしまいます。と言うより、治療として使えたらステロイド剤や免疫抑制剤を使わなくてもよくなり犬にとってもいいんですけどね。

何はともあれ、何でも過剰に『清潔に』することは良くないのでしょう。大学生の時、定食のサラダの上に3~4cmのいも虫がいました。さすがにそのサラダを食べることは出来ませんでしたが、米粒くらいの虫を一緒に野菜炒めにしてしまったとしたら私は平気で食べられます。皆さんはどうでしょうか?

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2006年2月14日 (火)

アガリクス

動物用のアガリクスは獣医の世界でも使用され始めて何年にもなる。

それなりの効果は期待できるのだろうが、はっきりしない(延命の証明はされていない)。害がなければ後は価格の問題だけであったが、少し注意をしなければならないニュースが飛び込んできました。ご存知の方もおられると思いますが、アガリクスの『発がん性』。

『アガリクス』に発がん性があるという事ではなく、キリンウェルフーズ(キリンの子会社なので訳の分からない会社の商品ではないところがまたショックである)のアガリクス商品「キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒(かりゅう)」に発がん性が認められたというもの。しかしもちろん他のアガリクス商品には問題がないという事は証明されていないので、現在アガリクス商品を使っている人や動物の飼い主様は不安だと思います。

当院では本当に信頼できる主治医である為に、証明されていない健康補助食品の類は、よっぽどの飼い主様の希望がない限り出していません。効くか効かないか分からない物なので、効かなかった時の責任がなく、儲けの事だけを考えている獣医師ならばどんどん出していることでしょう。

以下に、ニュースの一文を転載しておきます。

 厚生労働省は十三日、健康食品「アガリクス」を原材料とする「キリン細胞壁破砕アガリクス顆粒(かりゅう)」に発がんを促進する作用が認められたとして、キリンビール子会社のキリンウェルフーズ(東京都江東区)に自主的な販売停止と回収を要請し、食品安全委員会に販売停止の可否を諮問した。
 キリンウェルフーズは同日、顆粒だけでなく、全アガリクス商品の販売の中止、回収を発表した。アガリクスはカワリハラタケと呼ばれるキノコの一種。がんの予防効果があるとされ、健康食品として広く販売されている。今回の要請は一社の製品だけだが、アガリクス市場への影響は必至とみられる。アガリクスが肝障害を引き起こす疑いが学術誌で報告され、国立医薬品食品衛生研究所で三社の製品の毒性を調べていた。
 この結果、ラットの試験でキリンウェルフーズの製品から発がんを促進する作用を確認。残る二社の製品から発がん促進作用は未確認だったが、厚労省は食品安全委に、念のため安全性に関する意見を求める。
 キリンウェルフーズの野中淳一社長の話「発表内容を真摯(しんし)に受け止めて販売中止と自主回収を決定した。引き続き、安全性の確保に努めたい」

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2006年2月10日 (金)

眼科医

人の眼科医の話だが、先日知人が片目だけの視力の低下を訴えて眼科へ受診した。様々な検査をしたらしいが、視力検査(の向きを当てるやつ)では、患者『右斜め上』、検査士『惜しい!頑張れ!』などという会話があったとの事。このあたりでちょっと怪しいなと思ったらしいが、約1時間の検査の結果、何も告げられず抗炎症薬(塩化リゾチーム)を渡されて帰った。

帰宅後、なにやら紙も貰っていたので開いてみると視力右眼1.0左眼0.4さらには結膜炎と書かれていた。診察中には『結膜炎はないですね』と言われていたのにである。さらに、診察後にメガネ等はしなくて良いのかを聞いたところ、『まだいいよ』との回答だったらしい。

左右の視力に大きな差があると、気分が悪くなったり、良い方の眼まで悪くなったりすることがあるので、私はすぐに他の病院への受診を勧めました。

数日後、他病院の医師は(一時的なものであれば良くなるかも知れないので)ビタミン剤の点眼を渡し、改善がなければメガネかコンタクトを付けるよう指示したとのこと。

いくら町医者と言ってもこの差は何なんでしょう?腐っても眼科専門医では?と思います。検査等で約1万円(自己負担3000円)かかっている。だから人医は町医者でもベンツに乗っているのかと納得できる。本当に人の病気や命を救ってくれる医者がベンツに乗っていても納得だが、こんな医者ではちょっと・・・。

動物では日本には専門医制度がないが、眼科を得意とする先生方はいます。人の眼科の町医者よりはよっぽど優秀な先生方です。というより、治そうという気持ちの強さの違いでしょうか?

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2006年2月 9日 (木)

コンタクトレンズ

私もコンタクトレンズを付けています(大学卒業後)。メガネだと重くなりすぎ(視力0.04~0.06なので)鼻の所が痛くなり、すぐにズリ落ちてくるからです。メニコンの酸素透過性の最も良いハードレンズにしています。毎月2千数百円を払って、年に一回新品と交換してもらえるやつです。というのも以前3年ぐらい使っていたやつがありましたが汚れがひどく細菌性結膜炎を起こしてしまった為です。

本来異物であるコンタクトレンズを眼の表面に付けて置くのですから、眼にとって良いわけがありません。最近カラーコンタクトについて以下の報告がありました。カラーコンタクトを付けておられる方は是非使用を控えてください。

 おしゃれ用として若者に人気の、度のないカラーコンタクトレンズは、目の粘膜に炎症などを起こしやすい傾向があることが国民生活センターなどの商品テストで3日、分かった。

 同センターは「度のないカラーコンタクトは薬事法の規制がなく、安全性が保証されていない。コンタクトは視力補正の目的以外で安易に使わないでほしい」と警告している。

 テスト対象は国内で購入できる10銘柄。いずれも輸入品で、国内で医療機器の承認を受けていない。レンズに含まれる液の成分テストでは、10銘柄のうち2銘柄で、装着すると目やになど粘膜に異常を起こすほどの殺菌作用の強さが確認された。

 残りの8銘柄については、成人5人による30分間の装着テストを実施し、3銘柄で視力が低下する傾向を確認。6銘柄でテスト終了後、粘膜に傷が付くなどの軽い炎症が見られ、うち5銘柄は痛みなどの自覚症状を伴った。

 同センターは同日、厚生労働省などに「おしゃれ用カラーコンタクトは、現時点では取扱説明書も不要という状態。安全性や品質に問題があるものがある」と報告、ガイドラインの策定などを要望した。

ちなみに犬の角膜疾患の際に角膜保護を目的に付けるソフトコンタクトレンズがありますが、すぐに取れてしまったり、費用の問題がありあまり使用はされていません。

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緊急SOS

『日本にアニマルポリスを誕生させよう!』http://www.animalpolice.net/のメールで以下の内容が届きました。協力できそうな方や知り合いに犬の飼育を考えている方がいらっしゃれば、是非ホームページを見て下さい。

至急新しい飼い主さんと一時保護主さんを募集しております。
一般のご家庭にて80頭自家繁殖にて増えてしまいました。
半分は6ヶ月以下の子犬です。
大きさは成犬でも小型犬より少し大きい位で5~8キロ位です。

今回、あっという間に増えたのだと思います。
誰に相談することも出来ずに、捨てることも出来ず、
お金が無くて避妊去勢も出来ず無知であるがゆえにこうなりました。
処分だけは避けたいと、がんばって新しい飼い主さんを探しましたが、
近所からの苦情も多く、どうにも出来ずに苦しんでおられました。
今回もう二度とこのようなことにならないように、指導をした上で、
飼い主さんも努力して頂くことをお約束して頂けましたので、
私達も出来る範囲でがんばろうと思います。
期限は2ヶ月です。
3月末には立ち退きの為、処分の選択を選ばなくてはなりません。
どうか皆様御協力頂けますようによろしくお願いいたします。

沢山の方よりお問い合わせを頂きましたので追記させて頂きます。

現在わんこ達は飼い主さんのお宅にいます。
このわんこ達はワクチンを一度も受けたことが無く、
外に出たことが無いので、今一番怖いことは感染症です。
一頭でもパルボになったら全頭処分になる可能性もあります。
その事も踏まえた上で慎重に行わなければならないので、
フォーラムにも書いてありますが、
ワクチンを接種後に譲渡や一時預り先へ移動となります。

当初飼い主さんのお友達からのご相談で、お話することも難しく、
飼い主さんと
お話することができませんでした。
やっと私達ともお話をして頂けるようになりましたが
まだ現在、場所も名前もプライベートな事は飼い主さんのご家族達を保護するために、
一切非公開となっています。
御了承くださいm(__)m

緊急里親募集掲示板
こちらに一頭ずつトピックを立ち上げて掲載しています。
http://okinawa-wish.net/BB/viewforum.php?f=12
まず必ずお読み下さいの所を御覧頂き、
各名前の所を見て頂けますとわかりやすいと思いますので
よろしくお願い致しますm(__)m

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2006年2月 7日 (火)

統計(?)

みなさん細木数子さんの占星術に興味のある方は多いと思います。うちのおばあちゃんもその一人です。僕も時々テレビを見ますが、占いを除けば実に常識的なことをおっしゃっておられて、勉強にもなります。その細木さんが占いは統計学だと言っておられました。『これはこうなんだ!私の言うことは全て正しい』などと言う怪しい占い師や霊能者と比べるとまだ良心的だなあと感じました。

しかし、本当に『統計学』なのでしょうか?

私たち西洋獣医学を実践する人間は、常に統計学的に有効と認められた治療法を実践します。もちろん有効と認められていなくても効果の可能性があるものについては飼い主様と話をして使います(例えばアガリクス茸の抗癌作用)。先日老犬2頭の話をNHKで放送しており、腰がふらつく老犬に対し針治療を行っていました。あれもまた治療効果があると統計学的に認められていない治療法です(効果が無いと断言しているわけではありません)。補助的に(薬で言えばサプリメント的に)行うのであれば良いと思いますが、最近では(命に関わるような病気でも)東洋獣医学を第一選択治療として行う獣医師もいます。本当に『治してあげたい』と思えばそうはならないと思うんですが・・・。

細木さんの占いは果たして本当に統計学的に計算されているんでしょうか?そもそも十人十色の人生を統計処理できるんでしょうか(私も統計学には詳しくないので)?テレビでは、『これは効く』と堂々と言いながらも統計学的な証明がされていないものがあふれています(CoQ10,アガリスク,・・・・・)。皆さんもテレビ等での情報に十分気をつけてください。

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2006年2月 3日 (金)

BSE(2)

皆さんニュース等でご存知と思いますが、アメリカ農務省は以下の調査結果を発表しました。

『監査した12の食肉加工施設の4分の3にあたる9施設で、脳などBSE感染の特定危険部位を除去したかどうか記録が残っておらず、さらに、各施設に派遣されている農務省の検査官が、どの程度の頻度で検査していたかの記録もなく、検査が適正かどうか判断のしようがなかった』

先日このブログでもアメリカのいい加減さを書きましたが、本当に日本では考えられない状態ですよね。

ところで先日大阪市は大阪の2つの公園でホームレスの人達を強制退去させましたが、そのときの費用が1100万円。350人の警備員に800万円(時給2000円。ということは11時間半?)、トラック(計10台)のレンタルに300万円だそうです。100人程度のホームレスと支援者を退去させるのに本当にこれだけの人(大阪市職員310人も当初危険手当が検討されていたみたいです)と時間が必要だったのか疑問が残ります。市の職員と警察だけでよかったのでは?プロの警備員なら1箇所に数十人もいればいいのでは?などなど・・・これだけ無駄使いが非難されている中でのこの無駄使い。勝手に懐に入ってくるお金には人間こうもいい加減なのだなあと感じ、アメリカのええかげんさにほんの少しだけ通じるところを見た気がします。

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2006年2月 2日 (木)

高い?安い?(2)

先進国の中では医療費の安い日本。先日ある番組で日本の医療関係のことが放送されていました。それによると、盲腸の手術は約30万円(入院費を含めて)。このうち自己負担は約10万円。番組では医師が『こんなに日本では手術が安いんですよ』と言われていました。命を救う手術。私も全く高いとは思いません。

人の盲腸に似た手術は私たちで言うと避妊手術ということになるのでしょうか。小型犬だと2~3万円、大型犬だと5~6万円(病院により違いはあるでしょう)。

この両者の費用の違いは、①命の重み(人の命は地球より重い。動物は?)②人件費(新人勤務獣医師月収約20万円。3~5年の勤務獣医師約25~30万円。動物看護士時給700~1000円。医師、看護士は分かりません。)③設備費(しかし、人では専門化が進んでいる為設備投資はすぐに取り返せるのだろう。例えば超音波診断装置(約100~1000万円)を持っている殆どの獣医師は超音波検査でその半分の費用も得ることなく使っているのだと思う)④訴訟に対する費用⑤麻酔薬(少し量が多い。ものは殆ど同じ)⑥その他もろもろ。 といったところでしょうか?この約4倍の違い。ちょうど獣医師と医師の収入の差くらいでしょうか。

命の重みに関しては、殆どの獣医師や飼主は人より軽いという感覚では決してありません。

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2006年2月 1日 (水)

高い?安い?

続くかどうか分からないですが、「高い?安い?」シリーズを始めます。

まずは医療費。日本の医療費は欧米に比べ、格段に安い。それもやはり国民皆保険制度のおかげでしょう。私の親戚のおじいさんが日本でペースメーカーの手術をしました。原爆手帳を持っているので無料。持っていなくても高額医療費補助によりおそらく数十万円ですむのでしょう。その方はアメリカへ移住しているので、帰国した後再度ペースメーカーの手術。費用なんと千何百万円!!はじめは嘘だろうと思っていましたが本当らしい。民間の保険に入っていなければとても命を守れません。

救急車も日本ではタダ。アメリカではおよそ7万円。日本のようにちょっとした事では救急車も呼べません。

ただ忘れてならないのは、皆さんその為に毎月数万円の保険料を払っています。また、それだけではなく、医療費に投入されている税金はもちろん私達から徴収したもの。健康であれば年間数十万、10年で数百万円を払っているのです。

よく、「動物は保険がきかないから高い」と言われます。医療費は動物医療費に比べ、安いのではなく、皆さんがそれだけのお金を前払いしていると考えられないでしょうか?あまり、高い、高いと責めないで下さいね。一部の大病院の院長を除き、獣医師の年収は300~500万円位だと思いますよ。決してぼったくっているわけではありません。

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