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2006年5月 6日 (土)

医療訴訟

医療関係のニュースメールがほぼ毎日送られてきており、ほぼ毎回医療訴訟のニュースも含まれています。

『そんな馬鹿な!』と思うようなミスも多いが、 最近Yahoo!でもニュースになっていた帝王切開でのミスによる医師の逮捕の問題を考えてみようと思います。

福島県の県立病院で平成16年12月に腹式帝王切開術を受けた女性が死亡したことに関し、手術を担当した医師が、平成18年3月10日、業務上過失致死および医師法違反で起訴された件です。

報道各社はおそらく、医師の過失が原因の死亡事故であると報じていると思われます。医者のずさんな手技と対応によって一人の尊い命が奪われたと。

これに対し産婦人科学会は以下のようなコメントをしています。

『はじめに、本件の手術で亡くなられた方、および遺族の方々に謹んで哀悼の意を表します。

このたび、日本産科婦人科学会の専門医によって行われた医療行為について、個人が刑事責任を問われるに至ったことはきわめて残念であります。
本件は、癒着胎盤という、術前診断がきわめて難しく、治療の難度が最も高い事例であり、高次医療施設においても対応がきわめて困難であります。
また本件は、全国的な産婦人科医不足という現在の医療体制の問題点に深く根ざしており、献身的に、過重な負担に耐えてきた医師個人の責任を追及するにはそぐわない部分があります。 』

ここで考えさせられるのは、「明らかなミス」と「現代医療の現実」の違いではないでしょうか?

同じ手術を同じ条件の下で100人の医師が行なっていた場合、99人成功するのにその医師だけ失敗するとなれば医療ミスである可能性はかなり高いと思いますが、90人成功して10人失敗する場合はどうでしょうか?いわゆる名医の技術を基準とし、名医なら出来た手術を失敗したから医療ミスとすればそれはちょっと酷かと思います。

同じ難易度の手術が35年前だったら果たしてどうだったでしょうか?成功すれば名医で、失敗してもしょうがないというものだったかもしれません。

報道では、『「癒着胎盤」である可能性を認識しながら、十分な検査をせず、高度医療が可能な病院への転送や輸血製剤などの準備が不十分なまま』とありますが、事故調査委員会は、『当医師は前1回帝王切開の既往、後壁付着の前置胎盤であれば、一般に癒着胎盤の頻度は高くはないため癒着胎盤を強く疑ってはいなかった。』としています。つまり、通常ならば、癒着胎盤ではないケースなのだろうということを想像させます。仮にも産婦人科専門医ですので専門医の判断として不十分だったかもしれないが間違ってはいなかったのでしょう。ただそれが最悪の結果につながったということでしょう。

それではこの様に少しでも癒着胎盤を疑うケースにおいて、すべての病院で最悪の事態を考えて、常に輸血用血液を準備しておかなければならないのでしょうか?

というより準備できるのでしょうか?

皆さんはどれくらい献血に行っているでしょうか?私も最近は肝酵素(GPT)が少し高いので、いつも献血できないと言われますが、数年前までに通算50~60回献血していました。もちろん骨髄バンクにも登録していました(しています?)。学生時代に登録すると、半年も経たないうちに適合者が見つかり、数回の検査をし、親の同意書を取るところまで行きましたが、レピシエントの方の状態が悪化し、中止となりました。もう半年早く登録していればと考えてしまいます。

慢性的な血液不足の中、最悪の事態を考え、常に多めの血液を用意することはおそらく難しいのでしょう。動物でも同様です。十分な輸血ができずに亡くなる犬猫たちは多いのではないかと思います。

もう一つは慢性的な産婦人科医不足があります。これに関しては、もうちょっと医者になる人達に考えてもらいたいと思いますが、今回のことで、7割以上の産婦人科病院の先生方が診療に影響すると答えているそうです。通常の医師よりも訴訟になるケースが多く、夜中にたたき起こされる仕事なので、産婦人科医を目指す医師も減り、少し手ごわそうな場合はすぐに大病院へ行ってもらうことになってくるだろうとの事です。

もうすぐ弁護士がどんどん増えて、アメリカのような訴訟社会になります。そうすると、弁護士も自分の仕事を得る為にもっともっと医療裁判が増えてきます。それに対する病院側にも保険が必要なので、医療費はアメリカ並に高騰していく可能性もあります。

動物病院も同様です。今まで行われている訴訟のケースを見てみると獣医師側の過失が圧倒的で、あまりにもひどい対応をしている獣医師に問題がありますが、今後そうでもないケースも出てくるでしょう。そうすれば当然獣医療費も高騰します。

医療事故は絶対に無くなりません。出産で死ぬ人は絶対に無くなりません。ワクチンで死ぬ人も亡くなりません。でも、医師の怠慢などによる医療ミスは無くす事が出来るはずです。その違いははっきりさせたいところです。

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