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2009年9月

2009年9月23日 (水)

世界狂犬病デー

Japanese09web

2007年9月8日、世界47カ国以上およそ40万人の参加から始まった「世界狂犬病デー」というものがあります。

ワクチンや特に子供への教育により犠牲者を減らしていこうという運動です。

パスツールにより狂犬病ワクチンが開発されて約120年。いまだに毎年55,000人以上の人が亡くなっている伝染病です。

人への感染の95%が犬の咬傷であることから、犬へのワクチン接種が推奨されています。

狂犬病感染犬の潜伏期間は2週間~2ヵ月(最長6ヵ月)で、発症すると神経症状を示し死に至ります。

日本の狂犬病対策の3本柱は、

① 野良犬の捕獲・淘汰

② ワクチン接種

③ 検疫

です。

日本では1957年に神奈川県で最後の感染が確認されて以来、52年間感染犬の確認はありませんが、先の新型インフルエンザの世界的流行のスピードを見ると分かるように、現代の世界との時間的距離は非常に短くなっています。また、北海道のロシア船など無検疫で上陸している犬が現実に存在します。

このようなことから、またいつ狂犬病が国内に入ってきてもおかしくない状態であることに間違いはありません。

最近ではほとんど野良犬を見ることもなくなり、動物管理センターに収容されているほとんどの犬は飼い主やブリーダーにより飼育放棄された犬達です。これら放棄された犬たちは狂犬病予防法の下、3日で処分されます。

かつて「処分」イコール「殺処分」と扱われてきましたが、現在では「殺処分に限らない」ことが国から各地方へ通達されています。野良犬が激減した今、当然の事だと思います。

検疫に関しても2004年11月6日以降新しい検疫制度の下、より一層厳しくなり、感染犬が国内に入ってくるのはより難しくなっています。

では、ワクチン接種はどうでしょうか?

狂犬病感染犬がいなくなった今の日本で、ワクチンの意義は、感染動物が侵入したとしても単発の発生で終わらせる、つまり決して流行させないためにあります。感染犬の潜伏期間は平均1ヶ月。人の潜伏期間は1~3ヶ月。その無症状の潜伏期間に感染は広がっていく可能性があります。

流行を避けるためには75%以上の犬がワクチン接種をしておく必要があるといわれていますが、実際は接種率50%を下回っているのが現状だと言われています(登録されている犬では75%が接種されています)。

また、最近ワクチンの接種頻度つまり毎年接種の必要性について疑問視する声も出ています。アメリカでは5~7年の免疫持続期間はあるとし、接種義務を7年間隔まで伸ばそうと活動しているグループもあります。

ちなみに狂犬病ワクチンの副作用は100,000頭に4頭と言われており、混合ワクチンよりも有意に少ないという報告もあります。(私自身混合ワクチンのアレルギーは今まで20頭以上経験ありますが、狂犬病ワクチンによるアレルギー等の副作用を経験したことはありません)

アメリカでは州によって異なり、毎年接種もしくは3年毎の接種となっています。また、猫の接種も義務づけられています。

1997年にコーネル大学のFred Scott博士らは、猫の3種混合ワクチンの免疫持続時間に関する論文を発表し、「1才令時の追加接種後は3年間隔の追加接種」という考え方を提唱しました。それ以降、犬も含めワクチンの免疫持続期間を研究した多くの論文が発表されています。

では、日本での狂犬病ワクチンの接種義務も3年毎で問題ないのでしょうか?

個別の犬に対するワクチンによる免疫持続期間という1点で考えると、3年毎でよいでしょう。5年毎でもいいかもしれません。

しかし考えなければならないのは、発症すると100%死に至る伝染病が日本で流行しないようにすることです。アメリカでの狂犬病ワクチン接種率は日本より高いと聞いています(明確なデータを探しきれませんでした。データをお持ちの方は是非教えてください)。

50%前後の接種率で接種期間を延ばすと、さらに接種率は下がると予測されます。

日本で狂犬病ワクチン接種を3年毎にするには、その前に犬の飼い主の狂犬病に対する意識を高め、実質の接種率を75%以上にすることが必要であると考えます。

狂犬病:パスツールから120年①(You Tube 英語)

狂犬病:パスツールから120年(You Tube 英語)

参考:mvm Vol.18 No.110 2009/1 ファームプレス

    SA Medicine 29 インターズー

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