2014年6月24日 (火)

まちねこ専門動物病院

大阪市旭区のエンジェルズ大阪シェルター内にエンジェルズ動物病院が併設されました。

この動物病院はまちねこ(野良猫、地域猫)の不妊手術を第一目的としたもので、
すでに手術を初めて約3ヶ月が経ちました。

やっとバタバタも落ち着いてきたので、一般の地域猫ボランティアさん達からの依頼も受けることが出来るようになりました。

詳しくは、エンジェルズさんのHP内のエンジェルズ動物病院のページをご覧ください。

当院では予約等受けておりませんので、ご相談はエンジェルズさんへお願いします。



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2012年7月17日 (火)

移植に思うこと

録画していたTommorowというドラマを見た。
竹野内豊さんと菅野美穂さん主演の医療ドラマです。
第2話では腎不全の末期に陥った父親を救うべく、その息子に腎臓提供をお願いし、
最終的に息子が提供を申し出て、みんなが感動して終わるという話だった。

私にはすごく違和感があった。

自分の息子にリスクを伴う腎移植をさせる親が果たしているのか?
(親が子にというのは分かるが)


これとは対照的に、私がとても感動した映画がある。
映画の内容もさることながら、子役の演技力には本当に感動した。

それが、キャメロン・ディアス主演の「私の中のあなた」です。

白血病の娘を助けるべく、骨髄移植ドナーとしての妹を出産する。
姉のために遺伝子操作で生まされた妹。
小さい頃から何度も姉の為に手術台に乗ってきた。

ある日姉の腎不全が悪化し、腎移植が必要になった。
しかし、11才の妹は「腎臓提供しない」と両親を裁判に訴えた。

裁判の中で妹の様子がおかしいと感じた母は、真実を知ることになる。

妹は姉の為に腎臓提供を望んでいた。
実は腎臓提供しないよう裁判を起こさせたのは姉であった。

姉は知っていた。
自分の状態が良くないことを・・・。




日本でも数か所の施設で猫の腎移植が行われている。

若い健康な猫が腎臓を一つ失っても何も問題なく健康に生活できる。
しかしそれはあくまで若い時。
老化とともに腎機能の低下が珍しくない猫では、
やはり腎臓を一つ失うことは大きな問題だと思う。



人も、犬も、猫も、必ず死ぬ。

もちろん病気の子を何とかしてでも助けたいという気持ちは痛いほど分かる。
しかし、死を受け入れなければならない時はいつか必ずやって来る。

己の延命の為に、人の命を縮めさせる事はとても考えられない。
死を受け入れる時だ。

飼い猫の寿命が3年延びたとしても、ドナーの猫は何年失うんだろう。


もちろん脳死患者からの移植や100%殺処分が予定されている猫を
助けるための場合などは別の話だと思う。


今日ドラマを見ながらふと思った。

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2010年5月18日 (火)

質問に答えます

1.節足動物のみに効く殺虫剤とはいうものの、例えばゴキブリホイホイを子供がいたずらしてなめてしまった場合全く影響なしと言い切れるのでしょうか?

東京都の行った調査データには以下の記述があります。
http://www.anzen.metro.tokyo.jp/pdf/report_104.pdf)148ページ

フィプロニル
1.名称;5-amino-1-[2,6-dichloro-4-(trifluoromethyl)phenyl]-4-[(trifluoromethyl)
sulfinyl]-1H-pyrazole-3-carbonitrile
2.農薬名;フィプロニル,プリンス,fipronil,regent
3.IUPAC名;(±)-5-amino-1-(2,6-dichloro-α,α,α-trifluoro-p-tolyl)
-4-trifluoromethylsulfinylpyrazole-3-carbonitrile
4.構造系;ピラゾール
5.CAS番号;120068-37-3
6.分子式;C12H4Cl2F6N4OS
7.構造式;
8.分子量;437.2
9.概要・性状;白色粉末
10.融点;200~201℃
11.沸点;
12.引火点;
13.溶解性;187.5 g/L (メタノール)
2 mg/L (水)
14.LogPow ;
15.ADI ;0-0.0002 mg/kg-体重 (FAO/WHO,JMPR 2000)
(FIPRONILとFIPRONIL-DESULFINYLについて)
16.魚毒性;B-s
17.急性毒性;LD50 6572 mg/kg (ラット、雄)
LD50 6236 mg/kg (ラット、雌)
18.慢性毒性;TDLo 420 mg/kg/2W-連続(ラット、経口)
TDLo 336 mg/kg/4W-連続(ラット、経口)
TDLo 1638 mg/kg/13W-連続(ラット、経口)
TDLo 10950 mg/kg/1Y-連続(ラット、経口)
TDLo 554 mg/kg/6W-連続(マウス、経口)
TDLo 910 mg/kg/13W-断続的(イヌ、経口)
19.その他;水棲動物に強い影響を及ぼす

ここでいう、TDLo は最小中毒量(Toxic Dose Lowest)、LD50 は実験動物の50%が致死する量です。

13週ごとに体重1kgの犬にフロントライン2~10kg用(フィプロニル67mg)を13~14本飲ませた時に中毒の可能性が出てくることを意味しています。

また、ラットの実験ですが、体重1kgでフロントライン2~10kg用(フィプロニル67mg)を93~98本飲ませると、半数が死ぬという事を意味しています。

ミッチーさんの言う「全く影響なし」の定義は分かりませんが、もちろん気持ち悪くてよだれを出したり、吐き気を催したりすることはあるかもしれません。腸内細菌のバランスが崩れ、下痢を起こすかもしれません。

そういう意味では全く影響なしとは言い切れませんが、水も飲みすぎると、水中毒を起こします。醤油も飲みすぎると重大な健康への影響を及ぼします。

2.のみ、ダニ除けとして、例えば人間の子供の首筋に添加しても全く影響ないと言い切れるのでしょうか?

上記のように、経口投与でさえかなりの容量を投与しなければ中毒は起こりません。経皮であればより中毒に必要な量は多くなります。

ここでも、「全く影響ない」かどうかを言及されていますが、もちろん人によっては薬物に過敏に反応する人もいるでしょう。

金属アレルギーの人は、ほとんどの人が全く影響のないネックレスに対して、ひどい炎症を引き起こします。

人間にとって生きるために必要な栄養源としての小麦を食べると瀕死の状態になる人もいます。

3.我が家の小型犬はこれをすると、狂ったように走り回ったり具合悪そうになるのですが、又これを添加した犬を膝に抱いて長時間座っている人間の方も具合が悪くなったりするのですが、これは気のせいでしょうか?

2番の回答でご理解いただけると思いますが、金属アレルギーの人は金属のネックレスをつけません。

小麦アレルギーの人は小麦を避けます。

フロントラインをつけて明らかに様子がおかしいと感じるのならば、フロントラインをやめて、他の製剤(アドバンテージやレボリューションなど)に変えればいいだけではないでしょうか? 

4.ワクチン、フロントライン、狂犬病と、実質殺虫剤を毎年頻繁に摂取することに、長いスパンで見た場合全く影響なしと言い切れるのか心配です。人間の子供のワクチンでこのように毎年行われるものは聞いたことがありません。

「全く影響なし」と何度も言われていますが、もちろんワクチンにより不幸にも亡くなる犬がいます。しかし、ワクチンにより死なずにすんでいる犬がどれほどいるでしょうか?

現在のところ、フロントラインによるダニ予防をせずにバベシア症で死ぬ犬はたくさんいます。ワクチンをせずにウイルス病やレプトスピラ症で死ぬ犬はたくさんいます。ノミ駆除をせず、重度の皮膚炎や、人へのノミ被害、猫引っ掻き病を起こしているケースはたくさんあります。

しかし、長期のワクチン接種やフロントライン塗布による健康への慢性影響は確認されていません。

もちろん確認されていないだけで「全く無い」とは言い切れませんが、そのリスクは無視できる程度ではないかと考えます。(現実に犬の寿命は延びています)

またワクチンと一言で言っても様々です。

人でもインフルエンザワクチンは毎年接種が推奨されています。

5.ワクチン、狂犬病に関しては欧米では3年に1回の所が多い等、何故国によりまちまちなのでしょうか?

混合ワクチンはその使用説明書に毎年接種が望まれるとなっています。それに従わず3年に1回で良いというデータを残念ながら我々は持ち合わせていません。

逆に本当に3年に1回で大丈夫か?と言われたときに大丈夫とは言えません。

獣医療人としては使用書に従うのが当然であろうと思います。

とはいっても、混合ワクチンに関しては自己責任の下、3年に1回しか注射しないと選択される飼い主様もいらっしゃいますし、全くしないという方もいらっしゃいます。

また、狂犬病は毎年数万人の人が死んでいる恐ろしい病気です。

国によりその病気への取り組み方や国民性の違いなどからまちまちなのだと思います。

欧米では人の子宮頚がんのワクチンは無料接種であるのに対し日本では自己負担です。さまざまな場面で、国の状況、国民性等により政策が違っていて不思議はありません。

ほとんど副作用のない狂犬病ワクチンをあえて3年毎にした場合、確実に接種率は落ちます。犬を飼っていない日本人がそれを納得するでしょうか?

犬のブルセラ症ですら一部の人があれだけ大騒ぎしました。

エンジェルズ本部の周辺ではいまだに保護犬の疥癬症などで自然が破壊されると間違った認識を持った方々がいます。

6.最近増加傾向にあると言われる犬猫のアレルギーや悪性腫瘍との関連はあるのでしょうか?

フロントラインが関連しているという報告はありません。関連があるという事を証明するには科学的な証明が必要です。

疫学的な(正しい)調査もされていないのではないでしょうか?

インターネット上には様々な情報があふれています。

生きている限り「全く健康に影響が無い」生活は不可能ですので、全ての事に関して『リスク』のみを考えるのではなく、必ず『メリット』も考え、例えばフロントラインを使わない『リスク』も考えてください。

『フロントライン危険論』は非常に偏った、しかも重箱の隅を議論の99%にしているようなものです。

私たちが病気になったときに使う『薬』は100%安全ですか?

そうでなければ、薬の使用をやめますか?

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2010年3月 7日 (日)

難治性角膜びらん

2月中旬より当院のちくわちゃんは左眼の角膜を傷付け現在まで治療を続けています。

Photo_4

角膜潰瘍には5段階の分類があり、グレード1グレード3では点眼薬による内科治療で1週間もすればかなり良くなります。

グレード4は進行性の角膜潰瘍またはデスメ膜瘤と呼ばれ、通常角膜縫合などの外科治療が必要となります。

グレード5になると角膜穿孔と呼ばれ緊急の手術が必要です。

そしてグレード2難治性角膜びらんと呼ばれるもので、点眼薬の治療のみでは治癒せず、外科治療が必要になります。

難治性角膜びらんは角膜上皮基底膜の疾患であり、角膜上皮が角膜実質に接着せずペラペラと剥がれてくるものです。  

         

                                            

_r_3 ちくわちゃんは難治性角膜びらんを発症し、   

     

       

Photo_8

2月25日に手術(格子状角膜切開術)を行い、   

        

        

Photo_9

角膜保護と痛みの緩和の為コンタクトレンズを装着しました。

コンタクトレンズは約1週間で脱落しましたが(角膜表面が治癒過程で粗くなったため)、痛みはなくなり、現在は点眼薬のみの治療を行っています。

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2010年1月 8日 (金)

チョコレート中毒

年末年始はいかがお過ごしでしたか?

ご家族みんなが家にいることが多く、いつも以上におやつを貰った子もいたと思います。

今日は、みなさんも聞いたことのあるチョコレート中毒について説明します。

Meiji

猫はチョコレートに対し嗜好性は高くないのであまり心配はいりませんが、犬は喜んで食べる子も多いみたいです。

チョコレートに含まれる中毒成分はメチルキサンチン(テオブロミンとカフェイン)です。

メチルキサンチンは、利尿、頻脈、心筋・骨格筋の収縮などを引き起こします。

通常は摂取後6~12時間以内に症状が出るようです。

Morinaga

まず多飲、嘔吐、下痢、鼓腸がみられ、つづいて多尿、運動失調、痙攣が見られます。

さらには、頻脈、頻呼吸、チアノーゼ、高血圧症、高体温症、昏睡が現れ、後期には徐脈、低血圧が現れることもあるようです。

死亡の原因は主に不整脈か呼吸不全です。

ではどれくらい食べると上のような中毒症状を起こすのでしょうか。

Cacao77

テオブロミンとカフェインのLD50(50%が死亡する量)は約100~200㎎/㎏と言われていますが、これ以下でも命にかかわる重篤な症状を現す可能性もあるそうです。

20㎎/㎏だと軽い症状がみられ、

40~50㎎/㎏では重篤な症状

60㎎/㎏で痙攣がおきます。

各チョコレートのテオブロミンとカフェイン含量はそれぞれ以下の通りです。

  • 明治ミルクチョコレート     250mg/100g,  25mg/100g
  • 森永ミルクチョコレート     270mg/100g,  36mg/100g
  • カカオの恵み77%           710mg/100g,  68mg/100g
  • チョコレート効果99%     1100mg/100g, 120mg/100g

つまり、10㎏の犬がミルクチョコレート100g(板チョコ約2枚)を食べると軽い症状が出て、200g以上食べると重篤な症状が出るという事です。

また、3kgのチワワがチョコレート効果99%を6g食べると症状が出て、12g食べると重篤となる可能性があるという事です。

大きな犬であれば、一度にそれほど食べる機会がないとは思いますが、小型犬では日常の生活で十分考えられる量ですので、注意が必要です。

ちなみにホワイトチョコレートはテオブロミン、カフェインとも含量がわずかですので、中毒の心配はないと思います。

Cacao99

中毒が疑われたら、胃洗浄を行い、痙攣をおこしていればそれを抑え、不整脈が見られればその治療を行います。さらに点滴により血液循環を支持し、尿への薬物排泄を促します。

重症例では症状が3日位続く場合があります。

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2009年9月23日 (水)

世界狂犬病デー

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2007年9月8日、世界47カ国以上およそ40万人の参加から始まった「世界狂犬病デー」というものがあります。

ワクチンや特に子供への教育により犠牲者を減らしていこうという運動です。

パスツールにより狂犬病ワクチンが開発されて約120年。いまだに毎年55,000人以上の人が亡くなっている伝染病です。

人への感染の95%が犬の咬傷であることから、犬へのワクチン接種が推奨されています。

狂犬病感染犬の潜伏期間は2週間~2ヵ月(最長6ヵ月)で、発症すると神経症状を示し死に至ります。

日本の狂犬病対策の3本柱は、

① 野良犬の捕獲・淘汰

② ワクチン接種

③ 検疫

です。

日本では1957年に神奈川県で最後の感染が確認されて以来、52年間感染犬の確認はありませんが、先の新型インフルエンザの世界的流行のスピードを見ると分かるように、現代の世界との時間的距離は非常に短くなっています。また、北海道のロシア船など無検疫で上陸している犬が現実に存在します。

このようなことから、またいつ狂犬病が国内に入ってきてもおかしくない状態であることに間違いはありません。

最近ではほとんど野良犬を見ることもなくなり、動物管理センターに収容されているほとんどの犬は飼い主やブリーダーにより飼育放棄された犬達です。これら放棄された犬たちは狂犬病予防法の下、3日で処分されます。

かつて「処分」イコール「殺処分」と扱われてきましたが、現在では「殺処分に限らない」ことが国から各地方へ通達されています。野良犬が激減した今、当然の事だと思います。

検疫に関しても2004年11月6日以降新しい検疫制度の下、より一層厳しくなり、感染犬が国内に入ってくるのはより難しくなっています。

では、ワクチン接種はどうでしょうか?

狂犬病感染犬がいなくなった今の日本で、ワクチンの意義は、感染動物が侵入したとしても単発の発生で終わらせる、つまり決して流行させないためにあります。感染犬の潜伏期間は平均1ヶ月。人の潜伏期間は1~3ヶ月。その無症状の潜伏期間に感染は広がっていく可能性があります。

流行を避けるためには75%以上の犬がワクチン接種をしておく必要があるといわれていますが、実際は接種率50%を下回っているのが現状だと言われています(登録されている犬では75%が接種されています)。

また、最近ワクチンの接種頻度つまり毎年接種の必要性について疑問視する声も出ています。アメリカでは5~7年の免疫持続期間はあるとし、接種義務を7年間隔まで伸ばそうと活動しているグループもあります。

ちなみに狂犬病ワクチンの副作用は100,000頭に4頭と言われており、混合ワクチンよりも有意に少ないという報告もあります。(私自身混合ワクチンのアレルギーは今まで20頭以上経験ありますが、狂犬病ワクチンによるアレルギー等の副作用を経験したことはありません)

アメリカでは州によって異なり、毎年接種もしくは3年毎の接種となっています。また、猫の接種も義務づけられています。

1997年にコーネル大学のFred Scott博士らは、猫の3種混合ワクチンの免疫持続時間に関する論文を発表し、「1才令時の追加接種後は3年間隔の追加接種」という考え方を提唱しました。それ以降、犬も含めワクチンの免疫持続期間を研究した多くの論文が発表されています。

では、日本での狂犬病ワクチンの接種義務も3年毎で問題ないのでしょうか?

個別の犬に対するワクチンによる免疫持続期間という1点で考えると、3年毎でよいでしょう。5年毎でもいいかもしれません。

しかし考えなければならないのは、発症すると100%死に至る伝染病が日本で流行しないようにすることです。アメリカでの狂犬病ワクチン接種率は日本より高いと聞いています(明確なデータを探しきれませんでした。データをお持ちの方は是非教えてください)。

50%前後の接種率で接種期間を延ばすと、さらに接種率は下がると予測されます。

日本で狂犬病ワクチン接種を3年毎にするには、その前に犬の飼い主の狂犬病に対する意識を高め、実質の接種率を75%以上にすることが必要であると考えます。

狂犬病:パスツールから120年①(You Tube 英語)

狂犬病:パスツールから120年(You Tube 英語)

参考:mvm Vol.18 No.110 2009/1 ファームプレス

    SA Medicine 29 インターズー

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2008年10月 3日 (金)

高度動物医療

更新しない日が長い間続いてしまいました。

何から再開しようかと思っていましたが、良い情報がありますのでご紹介します。

関東ではさまざまな高度獣医療施設がありますが、大阪ではまだ数少ないのが現状です。

しかし今夏、心臓病のスペシャリストが豊中で診療を開始しました。

関西動物ハートセンター

これから獣医療はますます発展していきますが、単に生きる事さえ絶たれる多くの命があるのも現状です。そして多くの人がそれらの命を守ろうとしています。

新しく犬猫を飼おうと考えておられる方、是非動物管理センター愛護団体で新しい家族を見つけてください。

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2007年12月 3日 (月)

疥癬②

朝日放送『ムーブ』の記事のコメント欄で、のろんこ様が参考にされたサイト「カイセン問屋ヒゼン屋」のmakikuni先生が、イヌヒゼンダニの人への影響を科学的な見地から解説されています。(2007.12.1と2007.12.3の記事)

人獣共通感染症として疥癬が怖い病気かのように扱われ、高島市の地元の方々もマスコミや一部獣医師により間違った認識を植えつけられていました。

前回の話し合いで、私の話を聞き納得していただけたとは思いますが、それでもアークエンジェルズ側の人間の言う事なんか信用できないと納得されない方もいらっしゃると思います。

今回初めて、全く第3者であり、人の疥癬症の治療にあたられていらっしゃる専門医の医師から犬の疥癬は人にとって怖いものではないという見解が得られました。

私の話を信用できない方も、もうこれで疥癬に感染している・いない、完治証明がどーだこーだ等といった議論がいかに本来必要でなかったものか分かって頂けるかと思います。

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2007年10月22日 (月)

動画集

私が撮った顕微鏡映像やYOU TUBEなどの動物関連のものを紹介していきたいと思います。

●猫の疥癬(顕微鏡映像):http://jp.youtube.com/watch?v=q0aQRjLbROc

●耳ダニ(顕微鏡映像):http://jp.youtube.com/watch?v=6K3v3IYJj1Y

●ニキビダニ(アカラス、毛包虫、デモデックス)(顕微鏡映像):          http://jp.youtube.com/watch?v=wcEtxQ0zmgA

●猫のシラミ(肉眼映像):http://jp.youtube.com/watch?v=9dkSsGOblEk

●猫のシラミ(顕微鏡映像):http://jp.youtube.com/watch?v=XrY9q3TbAJs

●ジアルジア(顕微鏡映像):http://jp.youtube.com/watch?v=L4OKUeHQSfQ

●ジアルジアと螺旋菌(例:カンピロバクター)(顕微鏡映像):                 http://jp.youtube.com/watch?v=7L8mh6LDd0g

●糞線虫とコクシジウム(顕微鏡映像):                    http://jp.youtube.com/watch?v=2orqh3xGa7g

●猫の条虫(サナダ虫)(肉眼映像):http://jp.youtube.com/watch?v=SrOWyfM9F0s

●NHK『増える障害犬 ~ ペットブームの陰で』 ①~③

近親交配など遺伝病の可能性を無視した"乱繁殖" が行われています。ペットブームの裏で起きている乱繁殖 の実態とその対策に迫るNHKの特集です。

 http://jp.youtube.com/watch?v=SSJE5Mzrp6A

② http://jp.youtube.com/watch?v=JtMReMYtqiQ

③ http://jp.youtube.com/watch?v=cOFCGifJ2Ys

●読売テレビ『スッキリ!』特集:動物管理センターの現状 ①②

① http://jp.youtube.com/watch?v=h7LyL5b6R1Q

② http://jp.youtube.com/watch?v=vKondShVRQo

●名古屋テレビ:ペットがゴミになる ~ガス室で最期を迎える犬たち~ ①②

① http://jp.youtube.com/watch?v=-Pc8d3v23DA

② http://jp.youtube.com/watch?v=sIB1YyE6iPs

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2007年9月23日 (日)

疥癬

疥癬についての問い合わせがいくらかありましたのでご説明します。

疥癬ヒゼンダニ類の皮内もしくは体表への寄生による激しい痒みを伴う皮膚炎。

Photo

伴侶動物の疥癬の原因となるヒゼンダニは5種類あります。

センコウヒゼンダニ

 代表的なヒゼンダニで、人や犬、牛、豚、馬、タヌキ、イノシシなどに寄生します。このダニは宿主特異性が強いため各動物に寄生するセンコウヒゼンダニは別種と思われるが、同種であるという異論もあります。形態学的な違いがほとんど無い為、現時点では単一種として扱われています。

②ショウセンコウヒゼンダニ

 主に猫に寄生しますが、犬やウサギでもみられる事があります。特に頭部や前足に寄生します。

③コトリヒゼンダニ

 小鳥、特にインコ類の顔面や脚に寄生します。

④ミミヒゼンダニ

 犬、猫、キツネ、フェレットなどの肉食獣の外耳道に寄生します。

⑤ウサギキュウセンヒゼンダニ

 ウサギの耳介、外耳道に寄生します。

これらヒゼンダニ類は卵から成ダニまで生涯を動物の体の上で過ごします。

センコウヒゼンダニなどは皮膚内にトンネル(疥癬トンネル)を作り生活し、産卵もトンネル内で行われます。他宿主への感染力は強く、接触による場合が多いのですが、落下したダニが近くにいる動物へ感染することもあります。ミミヒゼンダニやウサギキュウセンヒゼンダニは疥癬トンネルを作りません。

体から離れると生存できませんが、湿度97%、温度10℃で19日間生存したという報告もあります。

通常激しい痒みを伴いますが、この痒みの主な原因はアレルギー反応であると考えられています。このため、免疫抑制剤投与などの治療を受けている場合や、免疫能が低い場合には痒みの程度が低くなり、無症状キャリアとなり得ます。

診断

①皮膚掻爬検査:メス刃や鋭匙(エイヒ)と呼ばれる器具で皮膚を擦り取る。疥癬症の約20%しか陽性にならない。

②耳介-肢反射:耳介を擦ると陽性犬は後肢で掻く。陽性犬の約80%でみられます。

③抗体検査:血清中の疥癬に対する抗体を検出する検査。80%以上の特異性と感受性を持つが、免疫能の低い仔犬や感染後5週間以前では偽陰性の可能性がある。また、ハウスダストマイトと交差反応を有するため偽陽性となる事もある。日本では検査キット未発売。

④糞便の浮遊検査:糞便中にダニ成虫や卵が見られることがある。

⑤殺ダニ治療への反応:治療に対する反応(症状の改善の有無など)で診断します。つまり、皮膚病があり、疥癬が疑われるにもかかわらず上記の検査をしてもダニが検出されない場合、診断的治療を行います。疥癬に罹っていない事を保証する為にはこの方法しかありません。

治療法(適用外使用のものもありますので実際の治療に関しては獣医師(主治医)にご相談下さい)

①殺ダニ剤の投薬

 イベルメクチン(商品名アイボメック):200~400μg/kgを1~2週間間隔で3~4回注射もしくは経口投与。コリー、シェルティー、オーストラリアン・シェパード、オールド・イングリッシュ・シープドッグやその雑種、他の牧羊犬などでは中毒を起こす場合があります(MDR1遺伝子検査可)。また、フィラリア感染犬への投与も禁忌。

 ドラメクチン(商品名デクトマックス):200~600μg/kgを週1回、3~6回注射。使用の注意点はイベルメクチンと同様。

 ミルベマイシンオキシム(商品名ミルベマイシンA):1mg/kgを2日毎に8回投与もしくは2mg/kgを1週間毎に3~5回投与。

②外用薬

 セラメクチン(商品名レボリューション):6~12mg/kgを1ヶ月毎に2回滴下。2~4週間毎に3回治療するとより効果的。

 フィプロニル(商品名フロントライン):仔犬ではスプレー剤を3週間毎に3回塗布(3ml/kg)。成犬では6ml/kgで2週間毎に3回塗布。2ヶ月令以下の仔犬では安全性が高い。

 アミトラズ(商品名MITABAN®):ダニカットを使用する場合、700倍希釈で2週間毎に3回塗布。副作用に注意。チワワでは禁忌。通常病院でのみ使用。

 石灰硫黄合剤(商品名LYMDYP®):硫黄石灰液を使用する場合、32倍に希釈し、シャンプー後にリンスまたはディップを週1回、4~6週間実施。

③併発疾患(膿皮症など)の治療

人への感染

疥癬は人獣共通感染症です。感染犬に密接に接触すると腕や胸、お腹などに痒みを伴う発疹を呈する事があります。感染犬を治療すれば約1週間で自然治癒します。

少し前に刑務所内で起きた疥癬の集団感染は、ヒトヒゼンダニによるもので、イヌセンコウヒゼンダニとは違います。

ムーブの放送について

http://jp.youtube.com/watch?v=jZZvFeqsWxw

http://jp.youtube.com/watch?v=_r-gOMBT5gM

先日放送された『ムーブ!』の中で、大阪府立大学の教授が、疥癬の陰性の証明に関して、『陰性を証明するのは難しい。集団飼育の場合・・・1年観察すれば間違いない』とコメントしていると紹介しています。確かに、一般論では集団飼育の場合どのように環境を改善しているか、きっちり全頭投薬できているか、などにより単頭飼育と比べダニの完全な駆虫は難しいと思います。

仮に私の病院へ、多頭飼育のブリーダーが疥癬の治療に来院された場合、4~5回の投薬で治療を終えるかどうか分かりません。まさにその飼主がどれだけ環境の改善をするかにかかっているのです。ろくに掃除もせず、投薬のみ行った場合、再感染の可能性は大いにあると思います。しかし、頻回にシャンプーを行ったり、飼育ゲージを全て新しい物と入れ替えたり、飼育場所を移動させたりした場合、短期間の治療により再感染の可能性もなくなります。

飼主が徹底的な対策をしようがしまいが、投薬を終え、1年間再感染がなければ大丈夫だという一般論と、今回のような個々の症例とを同じものとして議論するのは非常に間違っており、明らかに情報操作をしているのか、もしくは単なる無知なのかという事なのです。

実際、馬場教授も『一般論としてはそうだが、実際は患者を診た獣医師でないと判断できない』と仰られているようです。

今回アークエンジェルズのスタッフやボランティアの方々が本当に猛暑の中、徹底的な現場の環境改善を行いました。私も数回現場を訪れましたが、改善のスピード・質はすばらしいものでした。あの子達の為にどれだけの人達が、どんな思いで活動しているのか、是非ムーブのMディレクター、見てください!

そして現時点で、本来なら広いドッグランで走り回ったり、里親様に引き取られているはずの子達が狭いバリケンの中で生活せざるを得ない状況を考えてみてください。

現場付近の住民の方々は是非、何が環境問題となり得るのかを科学的に追求してみて下さい。そして問題があれば、アークエンジェルズはそれを解決していきます。

消毒薬の地下浸透発言で会場は騒然となり、コメンテーターもとんでもない事だと発言しました。ビルコンという消毒薬は塩素系の消毒薬で、すぐに分解されほとんど無害となります。また、犬舎等の消毒に使用する量がどれほどのものでしょう。塩素が毎日大量に使われているプールで何十年間も泳いできましたが、大騒ぎするような害があるのならとっくに使用禁止になっているでしょう。ビルコンの環境への安全性は製造メーカーが証明しています(英文)

単に消毒薬=有害という非科学的な印象のみにより左右される事なく、非科学的な番組に踊らされる事なく、何が真実なのかをよく考え、調べてください。

ムーブの担当ディレクターM氏は私に対し、『現地の人は犬の多頭飼育により、農作物や環境に被害が出るのか出ないのか専門家の意見を聞いた訳ではなく、実際は知らないだろう。』と言っていました。

また、ムーブで『疑惑』として放送されてきた数々のものも、私が何故その後を放送しないんだと聞いたところ、『疑惑』が正確な情報だと確認できたものがあれば放送するが、『疑惑』情報が正しいとも間違っているとも分からず、今はまだ調査中なのでそのうちはっきりすれば放送すると言っていました。例えば仔犬販売疑惑も未だ一件たりとて販売の事実は確認できていない。しかしまだ調査中なのでその疑惑は間違いだったとは放送しないそうです。つまり10年経っても販売の事実が確認できない限り『調査中』なので間違いだとは言わないそうです。

話はそれましたが、今回たとえ疥癬犬がそのままシェルターに行きシェルター内で治療したとしても、その『疥癬』が環境問題を起こすことはありません。シェルター内に疥癬犬がいたとしても治療により、すぐに清浄化され、野生動物に広がる事はありません。

アークエンジェルズへの様々な『疑惑』が問題なのなら、その事を話し合ってください。本当に『疥癬』や『環境問題』が問題なのなら、専門家(農業技術振興センター など)に科学的な意見を求めてください。

参考資料

小動物皮膚科専門誌『ViVeD』 Vol.2 No.1 2006 pp.6-43.

小動物臨床のための5分間コンサルト[第3版] p.1328

第13回NAHA国際セミナー『難治の痒みの診断治療』テキストpp.36-38.

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