2007年12月 3日 (月)

疥癬②

朝日放送『ムーブ』の記事のコメント欄で、のろんこ様が参考にされたサイト「カイセン問屋ヒゼン屋」のmakikuni先生が、イヌヒゼンダニの人への影響を科学的な見地から解説されています。(2007.12.1と2007.12.3の記事)

人獣共通感染症として疥癬が怖い病気かのように扱われ、高島市の地元の方々もマスコミや一部獣医師により間違った認識を植えつけられていました。

前回の話し合いで、私の話を聞き納得していただけたとは思いますが、それでもアークエンジェルズ側の人間の言う事なんか信用できないと納得されない方もいらっしゃると思います。

今回初めて、全く第3者であり、人の疥癬症の治療にあたられていらっしゃる専門医の医師から犬の疥癬は人にとって怖いものではないという見解が得られました。

私の話を信用できない方も、もうこれで疥癬に感染している・いない、完治証明がどーだこーだ等といった議論がいかに本来必要でなかったものか分かって頂けるかと思います。

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2007年10月22日 (月)

動画集

私が撮った顕微鏡映像やYOU TUBEなどの動物関連のものを紹介していきたいと思います。

●猫の疥癬(顕微鏡映像):http://jp.youtube.com/watch?v=q0aQRjLbROc

●耳ダニ(顕微鏡映像):http://jp.youtube.com/watch?v=6K3v3IYJj1Y

●ニキビダニ(アカラス、毛包虫、デモデックス)(顕微鏡映像):          http://jp.youtube.com/watch?v=wcEtxQ0zmgA

●猫のシラミ(肉眼映像):http://jp.youtube.com/watch?v=9dkSsGOblEk

●猫のシラミ(顕微鏡映像):http://jp.youtube.com/watch?v=XrY9q3TbAJs

●ジアルジア(顕微鏡映像):http://jp.youtube.com/watch?v=L4OKUeHQSfQ

●ジアルジアと螺旋菌(例:カンピロバクター)(顕微鏡映像):                 http://jp.youtube.com/watch?v=7L8mh6LDd0g

●糞線虫とコクシジウム(顕微鏡映像):                    http://jp.youtube.com/watch?v=2orqh3xGa7g

●猫の条虫(サナダ虫)(肉眼映像):http://jp.youtube.com/watch?v=SrOWyfM9F0s

●NHK『増える障害犬 ~ ペットブームの陰で』 ①~③

近親交配など遺伝病の可能性を無視した"乱繁殖" が行われています。ペットブームの裏で起きている乱繁殖 の実態とその対策に迫るNHKの特集です。

 http://jp.youtube.com/watch?v=SSJE5Mzrp6A

② http://jp.youtube.com/watch?v=JtMReMYtqiQ

③ http://jp.youtube.com/watch?v=cOFCGifJ2Ys

●読売テレビ『スッキリ!』特集:動物管理センターの現状 ①②

① http://jp.youtube.com/watch?v=h7LyL5b6R1Q

② http://jp.youtube.com/watch?v=vKondShVRQo

●名古屋テレビ:ペットがゴミになる ~ガス室で最期を迎える犬たち~ ①②

① http://jp.youtube.com/watch?v=-Pc8d3v23DA

② http://jp.youtube.com/watch?v=sIB1YyE6iPs

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2007年9月23日 (日)

疥癬

疥癬についての問い合わせがいくらかありましたのでご説明します。

疥癬ヒゼンダニ類の皮内もしくは体表への寄生による激しい痒みを伴う皮膚炎。

Photo

伴侶動物の疥癬の原因となるヒゼンダニは5種類あります。

センコウヒゼンダニ

 代表的なヒゼンダニで、人や犬、牛、豚、馬、タヌキ、イノシシなどに寄生します。このダニは宿主特異性が強いため各動物に寄生するセンコウヒゼンダニは別種と思われるが、同種であるという異論もあります。形態学的な違いがほとんど無い為、現時点では単一種として扱われています。

②ショウセンコウヒゼンダニ

 主に猫に寄生しますが、犬やウサギでもみられる事があります。特に頭部や前足に寄生します。

③コトリヒゼンダニ

 小鳥、特にインコ類の顔面や脚に寄生します。

④ミミヒゼンダニ

 犬、猫、キツネ、フェレットなどの肉食獣の外耳道に寄生します。

⑤ウサギキュウセンヒゼンダニ

 ウサギの耳介、外耳道に寄生します。

これらヒゼンダニ類は卵から成ダニまで生涯を動物の体の上で過ごします。

センコウヒゼンダニなどは皮膚内にトンネル(疥癬トンネル)を作り生活し、産卵もトンネル内で行われます。他宿主への感染力は強く、接触による場合が多いのですが、落下したダニが近くにいる動物へ感染することもあります。ミミヒゼンダニやウサギキュウセンヒゼンダニは疥癬トンネルを作りません。

体から離れると生存できませんが、湿度97%、温度10℃で19日間生存したという報告もあります。

通常激しい痒みを伴いますが、この痒みの主な原因はアレルギー反応であると考えられています。このため、免疫抑制剤投与などの治療を受けている場合や、免疫能が低い場合には痒みの程度が低くなり、無症状キャリアとなり得ます。

診断

①皮膚掻爬検査:メス刃や鋭匙(エイヒ)と呼ばれる器具で皮膚を擦り取る。疥癬症の約20%しか陽性にならない。

②耳介-肢反射:耳介を擦ると陽性犬は後肢で掻く。陽性犬の約80%でみられます。

③抗体検査:血清中の疥癬に対する抗体を検出する検査。80%以上の特異性と感受性を持つが、免疫能の低い仔犬や感染後5週間以前では偽陰性の可能性がある。また、ハウスダストマイトと交差反応を有するため偽陽性となる事もある。日本では検査キット未発売。

④糞便の浮遊検査:糞便中にダニ成虫や卵が見られることがある。

⑤殺ダニ治療への反応:治療に対する反応(症状の改善の有無など)で診断します。つまり、皮膚病があり、疥癬が疑われるにもかかわらず上記の検査をしてもダニが検出されない場合、診断的治療を行います。疥癬に罹っていない事を保証する為にはこの方法しかありません。

治療法(適用外使用のものもありますので実際の治療に関しては獣医師(主治医)にご相談下さい)

①殺ダニ剤の投薬

 イベルメクチン(商品名アイボメック):200~400μg/kgを1~2週間間隔で3~4回注射もしくは経口投与。コリー、シェルティー、オーストラリアン・シェパード、オールド・イングリッシュ・シープドッグやその雑種、他の牧羊犬などでは中毒を起こす場合があります(MDR1遺伝子検査可)。また、フィラリア感染犬への投与も禁忌。

 ドラメクチン(商品名デクトマックス):200~600μg/kgを週1回、3~6回注射。使用の注意点はイベルメクチンと同様。

 ミルベマイシンオキシム(商品名ミルベマイシンA):1mg/kgを2日毎に8回投与もしくは2mg/kgを1週間毎に3~5回投与。

②外用薬

 セラメクチン(商品名レボリューション):6~12mg/kgを1ヶ月毎に2回滴下。2~4週間毎に3回治療するとより効果的。

 フィプロニル(商品名フロントライン):仔犬ではスプレー剤を3週間毎に3回塗布(3ml/kg)。成犬では6ml/kgで2週間毎に3回塗布。2ヶ月令以下の仔犬では安全性が高い。

 アミトラズ(商品名MITABAN®):ダニカットを使用する場合、700倍希釈で2週間毎に3回塗布。副作用に注意。チワワでは禁忌。通常病院でのみ使用。

 石灰硫黄合剤(商品名LYMDYP®):硫黄石灰液を使用する場合、32倍に希釈し、シャンプー後にリンスまたはディップを週1回、4~6週間実施。

③併発疾患(膿皮症など)の治療

人への感染

疥癬は人獣共通感染症です。感染犬に密接に接触すると腕や胸、お腹などに痒みを伴う発疹を呈する事があります。感染犬を治療すれば約1週間で自然治癒します。

少し前に刑務所内で起きた疥癬の集団感染は、ヒトヒゼンダニによるもので、イヌセンコウヒゼンダニとは違います。

ムーブの放送について

http://jp.youtube.com/watch?v=jZZvFeqsWxw

http://jp.youtube.com/watch?v=_r-gOMBT5gM

先日放送された『ムーブ!』の中で、大阪府立大学の教授が、疥癬の陰性の証明に関して、『陰性を証明するのは難しい。集団飼育の場合・・・1年観察すれば間違いない』とコメントしていると紹介しています。確かに、一般論では集団飼育の場合どのように環境を改善しているか、きっちり全頭投薬できているか、などにより単頭飼育と比べダニの完全な駆虫は難しいと思います。

仮に私の病院へ、多頭飼育のブリーダーが疥癬の治療に来院された場合、4~5回の投薬で治療を終えるかどうか分かりません。まさにその飼主がどれだけ環境の改善をするかにかかっているのです。ろくに掃除もせず、投薬のみ行った場合、再感染の可能性は大いにあると思います。しかし、頻回にシャンプーを行ったり、飼育ゲージを全て新しい物と入れ替えたり、飼育場所を移動させたりした場合、短期間の治療により再感染の可能性もなくなります。

飼主が徹底的な対策をしようがしまいが、投薬を終え、1年間再感染がなければ大丈夫だという一般論と、今回のような個々の症例とを同じものとして議論するのは非常に間違っており、明らかに情報操作をしているのか、もしくは単なる無知なのかという事なのです。

実際、馬場教授も『一般論としてはそうだが、実際は患者を診た獣医師でないと判断できない』と仰られているようです。

今回アークエンジェルズのスタッフやボランティアの方々が本当に猛暑の中、徹底的な現場の環境改善を行いました。私も数回現場を訪れましたが、改善のスピード・質はすばらしいものでした。あの子達の為にどれだけの人達が、どんな思いで活動しているのか、是非ムーブのMディレクター、見てください!

そして現時点で、本来なら広いドッグランで走り回ったり、里親様に引き取られているはずの子達が狭いバリケンの中で生活せざるを得ない状況を考えてみてください。

現場付近の住民の方々は是非、何が環境問題となり得るのかを科学的に追求してみて下さい。そして問題があれば、アークエンジェルズはそれを解決していきます。

消毒薬の地下浸透発言で会場は騒然となり、コメンテーターもとんでもない事だと発言しました。ビルコンという消毒薬は塩素系の消毒薬で、すぐに分解されほとんど無害となります。また、犬舎等の消毒に使用する量がどれほどのものでしょう。塩素が毎日大量に使われているプールで何十年間も泳いできましたが、大騒ぎするような害があるのならとっくに使用禁止になっているでしょう。ビルコンの環境への安全性は製造メーカーが証明しています(英文)

単に消毒薬=有害という非科学的な印象のみにより左右される事なく、非科学的な番組に踊らされる事なく、何が真実なのかをよく考え、調べてください。

ムーブの担当ディレクターM氏は私に対し、『現地の人は犬の多頭飼育により、農作物や環境に被害が出るのか出ないのか専門家の意見を聞いた訳ではなく、実際は知らないだろう。』と言っていました。

また、ムーブで『疑惑』として放送されてきた数々のものも、私が何故その後を放送しないんだと聞いたところ、『疑惑』が正確な情報だと確認できたものがあれば放送するが、『疑惑』情報が正しいとも間違っているとも分からず、今はまだ調査中なのでそのうちはっきりすれば放送すると言っていました。例えば仔犬販売疑惑も未だ一件たりとて販売の事実は確認できていない。しかしまだ調査中なのでその疑惑は間違いだったとは放送しないそうです。つまり10年経っても販売の事実が確認できない限り『調査中』なので間違いだとは言わないそうです。

話はそれましたが、今回たとえ疥癬犬がそのままシェルターに行きシェルター内で治療したとしても、その『疥癬』が環境問題を起こすことはありません。シェルター内に疥癬犬がいたとしても治療により、すぐに清浄化され、野生動物に広がる事はありません。

アークエンジェルズへの様々な『疑惑』が問題なのなら、その事を話し合ってください。本当に『疥癬』や『環境問題』が問題なのなら、専門家(農業技術振興センター など)に科学的な意見を求めてください。

参考資料

小動物皮膚科専門誌『ViVeD』 Vol.2 No.1 2006 pp.6-43.

小動物臨床のための5分間コンサルト[第3版] p.1328

第13回NAHA国際セミナー『難治の痒みの診断治療』テキストpp.36-38.

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2006年12月 5日 (火)

人を咬んだら

日本人の狂犬病が発生して、多少狂犬病に対する意識が上がってきている気がします。

意識が低かった地域ではこのニュース以来、狂犬病予防注射の依頼が増えているみたいです。予防に対する意識が上がったのか、近所の人の目を気にしてなのか分かりませんが、とりあえずどちらでもいいのかと思います。

幸い(?)当院でこの時期狂犬病注射を受ける方々はみんな毎年この時期に受けている方々で、新規に受ける方はほとんどいません(仔犬は別ですけど)。比較的意識の高い地域なんじゃないかと思います。

さて、万が一皆さんの飼っているワンちゃんが人を咬んだ場合、どうすればいいのでしょうか?

①咬まれた方に真摯に謝罪し(当たり前ですよね)、病院へ行ってもらう。

②咬んだ犬は狂犬病注射を1年以内に受けていようがいまいが、動物病院で検診を受ける。予防している犬は咬傷時と1週間後の計2回。予防していないまたは不明な場合はさらに1週間後の計3回。

③検診後に獣医師から「狂犬病鑑定書」を受け取り、咬傷被害者と保健所(大阪府吹田保健所:出口町19-3、06-6339-2225)に提示する。この時、咬傷を繰り返すような犬や飼い方に問題がある場合は保健所から指導を受けるそうです。

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2006年7月 1日 (土)

熱血獣医

昨日TBSで、「完全密着…どうぶつ病院24時!ペット達の命を救え!熱血獣医スペシャル」という番組がありましたね。皆さん見られましたか?

まず初めに夜間動物病院が紹介されていました。私も短い間でしたが、堺の夜間救急病院でアルバイトとして勤務した事がありましたが、やはり重症の子たちが多く気の抜けない日が続くこともあります。北摂には箕面に夜間救急病院がありますが、スタッフも設備も申し分なく、夜の緊急時にはとてもありがたい存在だと思います。一つお願いがあるとすれば、5:00amまでではなく、せめて7:00amか8:00amまでやってくれたらなと思います。私の父が機械に腕を挟まれ、切断された時救急車が来てから受け入れ病院が見つかるまで30分以上かかったと聞きました。広島というある程度の都市でもこのような状態なのかとびっくりしましたが、それに比べ全国の獣医さんたちは頑張っていると思いませんか?

夜間動物病院の若い院長先生が自宅のプレハブ小屋に「仲間がいる」と言って入っていきました。『ああ、猫達の為に小屋を作ったのか・・・』と思い見ていると、小屋の中にはケージがびっしり並んでいるではないですか。犬や猫十数匹を世話しており、「自分の限界以上のことをしてはいけない・・・」と言っていましたが、あの状況はすでに限界を超えているのではと思いました。テレビで放映してもらうということは、先生自身が良い事をしていると思っているのでしょう。

多くの日本人は長く生きることに重点を置きます。それに比べ欧米人は生きる質に重点を置きます。人は『死ぬ』ことを知ってしまいました。今のことも未来のことも考えることが出来ます。それに比べ『死』を知らない動物たちにとっては、今その時が重要なのです。

無責任な飼主に捨てられる動物は非常に多くいます。そういう子達を助けてあげたいと思う気持ちはほとんどの獣医師が持っています。しかし、一生ケージ内での生活を強制される動物たちは本当に幸せでしょうか?その思いから当院には『輸血犬・猫』がいません。輸血の為に一生ケージ内で生かされる事も、ある意味虐待だと考えているからです。

相川動物医療センターの相川先生は獣医界では有名な先生の一人です。アメリカの大学で外科専門医として実践してこられたからです。ただ、ちょっと言い過ぎな部分もありました。実際に全国には相川先生と同等もしくはそれ以上の技術や経験を持っている先生はいらっしゃるからです。椎間板ヘルニアの手術は難易度の高いものではありません。きっちりと悪い場所さえ分かれば、多くの先生たちがこなせる手術です。あのダックスフンドも状態としては最悪ではなかったので、おそらく他の先生がやっても同じ結果になったと思います。決して『奇跡』ではありません。相川先生も『手術をするということで来院されたんですか?』と聞かれてました。状態によっては、手術してもしなくても結果はあまり変わらないという事も多いからです(良くなる時間は手術した方が早いですが)。

問題は、主治医がきっちりやることをしていなかったことだと思います。手術には特殊な器具も必要ですが、すべての病院が持っているわけではありません。最初の主治医がしっかり説明し、手術のできる病院を紹介すれば良かったのだと思います。

心配なのは、ヘルニアの手術をしたがうまく治らなかった場合、『相川先生だったら治っていたかもしれない』と考えることです。あの番組を見たら誰でも相川先生に手術してもらいたいと思います。誰がやっても同じ結果になる位の手術もあれば、相川先生はじめ、手術の優れた先生がやった方が良い手術もあります。それを見極めるのが、『主治医(ホームドクター)』だと思います。

『超デブ犬の2週間限定ダイエット』と聞いたときに、誰もが「2週間だけかよ!」と、さまぁ~ずの三村ばりの突っ込みをしたと思います。3ヵ月後にかなりダイエット出来ていてほっとしました。犬のフィットネスクラブいいですね。しかし1回約1万円。そんなお金をかけて急激なダイエットをしなくても食餌を減らせば、お金も浮いて体重も減るのにな~と思ったのは私だけでしょうか?ペットボトルに穴を開け、フードを入れるのはいいですね。

犬猫の里親探しに力を入れている先生がいらっしゃいました。年間100頭の里親。すばらしいです。本当に動物に対する愛情の強い先生だなと感じました。

エキゾチックアニマル専門の獣医師が、「昔診てもらった獣医は何も分からないのに大きな態度だったから、獣医が大嫌いだ」と言っていました。彼はいわゆる「マニア」で、獣医師になる前から、生態などの知識は豊富だったと思います。だからと言って、当時の獣医師をあんなふうに非難するのはどうかなと思います。犬・猫でも一生勉強が必要な獣医学です。一生に数匹見るか見ないかの野生動物のことを詳しく知らないのはそんなに非難されることでしょうか?もちろん、僕から見ても「どうしてこんな治療を?」と思うようなことをしている病院もありますので、彼もたまたまそんな病院を経験してしまったのかもしれません。彼以上にエキゾチックアニマルについて詳しく、一般の獣医師に広く指導しているすばらしい開業獣医師もまだまだいます。

老後や重大な事情でどうしても飼えなくなったペットを飼い続けてもらえる団体も紹介されていましたね。約100頭を5人で面倒見ているといっていました。また、寄付で成り立っているらしいです。大変厳しい状況のようですが、ペットフード会社や大阪市が協力して、南港の無駄になっている空き地などを使ってやってくれたらいいんですけどね。大阪市内なら、ボランティアもたくさん集まると思います。

以前は『気』で病気を治す獣医や、他の獣医師が処方した薬を『独自の検査機械』で分析して、「これは水だ!」などと飼主に言ったりするようなフェラーリを乗り回す獣医など面白おかしくこのような番組が作られていたような気がしますが、最近は本当に頑張っている獣医師達がよく登場します。私も立派な先生方に負けないよう、飼い主様に安心して任せてもらえるようなホームドクターになるべく日々頑張ります。

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2006年4月10日 (月)

マダニ

今日来院されたワンちゃんにマダニが付いていました。

Madani 原町の宮ヶ谷公園付近を主に散歩コースにされているワンちゃんです。昨年も何頭かマダニに咬まれているワンちゃんが来院されましたが、多くの場合、トリミングで発見されました。

マダニ自体は血を吸うだけなので怖くはないのですが、マダニが媒介する様々な病気の中に、非常に怖いものがあります。

バベシアはマダニが媒介し、赤血球内に寄生する原虫と呼ばれる種類の寄生虫です。当院ではまだ発生の確認はしていませんが、豊中などでは発生が確認されています。ということは原町周辺でいつ発生があってもおかしくない状況だということです。

今ではフィラリア感染はよっぽど重度でなければ治る確率の高い病気ですが、バベシアは決定的な治療法がなく致死率の非常に高い病気です。とにかく予防、予防、予防です。

予防の方法はフロントライン(2~10kg用1400円、10~20kg用1600円・・・)という製品が最も効果的だと思われます。ペットショップやホームセンターで売られている製品は値段も安いが効果も低いものです。そんなものを使って、もし感染しても誰も責任は取ってくれません。というより、月々数百円をケチった為に生死をさまよう病気になるなんて馬鹿げていると思いませんか?病院の売上の為に言っているのではないので、勘違いしないで下さいね。

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2006年3月31日 (金)

フィラリア予防

皆さんそろそろフィラリア予防のお知らせのハガキが届いてきていると思います。まだの方も、1~2週間以内に届くと思います。

フィラリア予防はワクチンと違い皆が同じ時期に行ないますので、一度に来院されるとかなりの混雑が予想されます。そのため、カルテ番号順に来院時期を振り分けておりますので、是非ご協力下さい。もちろんその時期でなくても結構です。

実際のフィラリア薬投与開始は、

5月20日~6月1日

投与終了は、

11月20日~12月1日

となります。投薬日お知らせメールをご利用下さい。

フィラリア予防ということで、薬をのんだらフィラリアに感染しないと思われがちですが、実際は違います。この薬は『駆虫薬』ですので、体に入っているフィラリアの子虫を殺します。

大阪だとフィラリアの感染は5月初旬からですので、5月中に体に入ったフィラリアを5月下旬に駆虫するというわけです。また感染終了は11月初旬ですので11月下旬に最後の駆虫薬を飲ませます。

先日も、「先生、蚊がもう出てる~」と言われた方がいらっしゃいましたが、今出ている蚊は、血を吸いません。血を吸う蚊も雌の繁殖時期のみで、気温に左右されます。その気温を元に計算されて、フィラリア感染時期が割り出されます。

当院でも開院当初には一年で10頭以上のワンちゃんたちがフィラリアに感染が確認されました。そのほとんどが治療済みあるいは治療中ですが、残念ながら亡くなった子もいます。

皆さんの予防が功を奏し、昨年は数頭のみでした。

しっかり予防していきましょう!

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2006年3月25日 (土)

狂犬病予防注射

皆さん、狂犬病予防注射の通知は役所から届きましたか?

狂犬病予防法により、毎年一回の狂犬病予防注射が義務付けられています。接種は一年を通していつでも出来ます。ただし集合注射はその日にちが決まっています。

昔からなんとなく通知に書いてある通りに集合注射をしている方も多いかと思いますが、出来るだけ病院でしっかり診察を受けた上で注射するようにしてください。集合注射では何十頭(場所によっては百数十頭)もの犬に半日で注射していきます。行かれた事のある方は分かると思いますが、とにかく流れ作業的に獣医師が注射をしていきます。そのために問題(ワクチンアレルギーの対応が遅れたり、病気の犬に接種したりなど)もあり、地域によっては病院での注射を推進しているところもあります。

集合注射を勧める獣医師がいるとすれば、それはおそらく獣医師会に入る収入の問題でしょう。大きな資金源ですので、それに頼っている獣医さんは集合注射を勧めるかも知れません。

集合注射に行くと【犬】のマークのシールがもらえます。

これについても誤解がすごく多いようです。このシールは狂犬病予防注射とは全く関係ありません。シールにはその年度が書いてありますのでいかにもその年に注射をしたという証のようですが法的には全く関係ありません。地域によって違いますが、獣医師会もしくは地方自治体がシールを作って配っています。では何故このシールを配るのかといいますと、例えば大阪府の条例(大阪府動物の愛護及び管理に関する条例 )では、その第四条の2にこう書いてあります。

『犬の飼養者は、住居の出入口等人の見やすい箇所に、規則で定めるところにより、犬を飼養している旨を表示しなければならない。』

つまりあのシールはあくまで、犬を飼っていますよという表示であり、狂犬病注射を射っていますよという証明ではないのです。注射の証明は注射済証という小さな四角い金属プレートです。

吹田市では獣医師会がシールを配っている為、獣医師会に入っていない当院では発行することが出来ません(何故かは個人的に聞いてください。ここで言うといろいろな所から怒られそうですから)。大阪市では市が配っているので獣医師会に入っていようがいまいがもらえます。何でこんなに差があるのでしょうか?不思議ですよね。

皆さん、当院で狂犬病予防注射を受けてくださいね。 費用は集合注射と全く同じです。

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血液検査

獣医師質問サイトの『だいじょうぶ?マイペット』でよくあることですが、「血液検査は問題なかった」と言われる方が多くいらっしゃいます。ここで問題なのが、血液検査と一言で言っても様々な検査項目があり、何の項目で問題なかったかによってアドバイスも変わってきます。

例えば当院で、避妊や去勢手術をする健康な若い(4~5才まで)犬・猫の場合、身体検査(触診、聴診、視診など)で問題なければ、完全血球計算(ヘマトクリット値、赤血球数、白血球数、血小板数)(1600円)、タンパク質濃度、血糖値(500円)、ALT(GPT)(肝酵素)(500円)、クレアチニン(腎機能)(500円)を血液検査として行います。これで異常が無ければO.K.と判断します。

高齢な犬・猫や身体検査で気になる点がある犬・猫は上記に加え、5~10項目を追加して調べます(1項目500~800円)。また、場合によっては甲状腺や副腎といった内分泌系の検査やそれ以外の特殊な検査も行います。

「他院で検査して問題なかったので、検査はしなくて良い」と言われ、検査項目を見ると不十分であることも時々あります。

人の検査項目は動物とは比にならないくらい多岐にわたっています。ということは、私たちは様々な方法や検査で病気を診断し治療しようと努力していますが、今の検査項目だけで診断出来ない病気も多々あるだろうということです。血液検査をしたらすぐに病気が分かると思われている方もいらっしゃいますが、万能ではありませんので注意が必要です。

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2006年3月10日 (金)

高度診断センター

私たち獣医師も他の多くの職業同様、日々勉強です。昨日も9:30pmより北摂夜間救急病院の3階セミナールームでiVEAT(獣医教育・先端技術研究所)の宮林先生によるセミナー(テーマ『呼吸困難な患者の画像診断』)が行なわれました。宮林先生は約2年前までアメリカ・コロラド州立大学獣医学部放射線学の准教授で、大阪出身の先生です。帰国された後iVEATというレントゲンや超音波、CTといった画像診断の専門病院を作られました。私たち獣医の世界も専門化が徐々に進んできており、獣医療もいわゆるかかりつけ医が何でも出来るという時代ではなくなってきました。当院からも何頭かのワンちゃん達が宮林先生の超音波診断を受けております。

このようないわゆる高度診断センターや二次診療病院は大阪に何件かあります。大阪府立大学付属獣医臨床センターは大学の施設で、一般病院からの紹介で高度治療を行ないますが、大学ということで外科・内科の壁や2週間予約待ち、またアメリカほどの専門化は進んでおらず、期待外れとなることなどが問題としてあります。

近畿では2件目となるMRIを導入した、京都動物医療(MRI)センター南京都夜間動物診療所内に約2年前に出来ました。特に脳内疾患や脊髄疾患ではその力を発揮します。椎間板ヘルニア診断の第一は今でもやはり脊髄造影です。脊髄周囲の隙間(脳脊髄液があるところ)に針を刺して造影剤を注入します。時々人でも脊髄造影後にしびれが残ったなどという医療ミスを聞きますが、それ位全く簡単なものではありません。ましてや年間そう何回も行う機会もありません。心臓外科の名医も年間何百例という手術をして初めて(もちろん何回もの失敗をした上で)名医となるのです。MRI検査では脊髄造影に劣る面もあります。しかし脊髄を傷つける可能性はゼロです。脊髄疾患を得意としている獣医師はMRI検査を安易に行うことを否定しますが、安全かつ効果的な検査としてとても力になる検査機器です。

CTセンター、夜間救急病院、二次診療施設であるリファラルセンターをようするネオベッツのセンター病院は大阪市東成区にあります。大阪を中心とした一般開業医が投資して出来たもので、設備としては大阪で最も進んでいると思われます。ここでも開業医から依頼を受けた動物のCT検査や高度医療(水頭症手術など)を実践しています。また、アメリカ等で専門知識・技術を身につけた獣医師が専門診療(現在は眼科や整形外科ですが、今後は腫瘍科など増えていくと思います)を行ないます。

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2006年3月 7日 (火)

ビタミンD

「猫は一日中部屋の中で、日光浴させなくていいんですか?」という質問が時々あります。

一番心配されるのはビタミンDの合成についてだと思います。人では皮膚の下にある7-デヒドロコレステロールが紫外線の働きによりビタミンDへと転換されます。その後、肝臓や腎臓で代謝されて活性型のビタミンD3となり、腸管でのカルシウムやリン酸の吸収促進などの働きをします。

ビタミンD不足になるのは、

食餌から十分取っていない時

での吸収が不十分な時 

腎臓の働き悪く活性型ビタミンDに転換できない時 

紫外線不足の時

そこで猫ですが、猫の皮膚には7-デヒドロコレステロールが非常に少量しか存在しない為、紫外線によりビタミンDを合成できないのです。そのため、食餌中のビタミンDが非常に重要となります。

昔、「ミミー」というキャットフード缶には通常の100倍ものビタミンD(魚類の肝臓に多量に入っている)が入っていた為、腎臓や肺などにカルシウムの沈着がおこるという問題がありました。少なくてもダメ、多すぎてもダメというのがよく分かると思います。

ちなみに猫は高齢になると腎臓機能の低下がよく見られます。そのため、上述したようにビタミンDを活性化できずにカルシウムの吸収が低下します。さらに腎臓からのリンの排泄が十分できずにリンが溜まりこれがカルシウムとくっつき、組織や血管に沈着します。

以上のことから、血液中のカルシウムが減ることで、もっとカルシウムを出せ~という命令がPTH(パラソルモン)というホルモンでなされます。

このPTHというやつが、尿毒症の症状である沈鬱や食欲不振、高血糖などを引き起こすことが知られています。

血液中のリンを減らす為に低リン食やリン結合剤があります。また、PTHを減らす為に活性型ビタミンD3製剤があります。

今回の話はちょっと難しかったでしょうか?猫に日光浴が(栄養学的に)必要ないといっても、日光浴している猫を見るとすごく気持ちよさそうで、たまらないですよね。猫も日光浴は大好きです。晴れた日は出来るだけカーテンを開けて日光浴させてあげましょう。

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2006年2月20日 (月)

アレルギー検査

昨日の日曜日は学術セミナー出席の為、診察時間を1時間繰り上げ12:00で終えました。連絡が行き届かず、ご迷惑をかけた飼い主様方にこの場を借りてお詫び申し上げます。

セミナーのテーマは『外耳炎』と『栄養と皮膚病』。

講演の中で、アトピー性皮膚炎の治療の話を東京農工大学の岩崎教授がされました。治療に関わる栄養と言う点では、脂肪酸製剤(当院ではビアクタンプラスを使用)があげられます。基本的に完治しない慢性疾患のアトピー。いかに薬(特にステロイド剤)の副作用を出さずに皮膚の管理をしていくかがポイントです。

アトピーの治療の前には診断が必要です。アトピーの診断は、①まず感染症(ダニ,細菌,真菌)でないことを確認します。感染があれば、まずそれを治療。②病歴、発症部位、皮膚の状態、年令、犬種などを考慮して、診断。

そう、いわゆるアレルギー検査はアトピーの診断には役に立たないのです!!

これは人でも同じです。人でもアレルギー検査はあくまで参考項目です。

当院へ転院されて来られるアトピー性皮膚炎と思われる犬は何頭かいます。アトピーと言われていたが、アトピーではない犬もいます。

最近多いのが、「アレルギーの検査をして、この子は牛肉とスギ花粉があかんねん」などとおっしゃる方々。全て獣医師の責任なのですが、間違った情報に踊らされています。先程書いたように、アレルギー検査でアレルギー物質のある程度の特定は出来ても、アトピー(アレルギー)の診断は出来ないのです。さらに、食物アレルギーに関しては、その特定自体も信頼性が無いのです。食物アレルギーの診断は『除去食試験』という方法によってのみ診断されます。

2~3万円もの検査費用を出して、分かったことは○○にアレルギーを持っているかもね。という事だけで、あとの治療にはほとんど役に立たないのです。しかも食物の項目に関しては信頼度ゼロ。はっきりアレルゲン(アレルギーの原因となっている物)が分かったとしても、食物以外の検査項目で取り除くことが出来るのはノミくらい。スギ花粉だと分かったところで『スギ花粉に気をつけて』と言われてもどうしようもないでしょう。

それでは何故アレルギー検査があるのでしょう?

それはずばり、『減感作療法』を行う時のためです。それ以外でこの検査を行うのは、何となくの興味や何か原因をはっきり形で出したいという欲求でしょうか。

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2006年2月17日 (金)

足あらい。清潔=体に良い?

犬を室内で飼う家庭が増えたことはすごく喜ばしいことですが、土足で家に上がらない日本人にとって犬が散歩から帰ってきた時にもそのまま上がる事を極端に嫌う方も多くいらっしゃいます。

最近できているペット同居可の分譲マンションでは、その入り口に足洗い場があるほどです。散歩から帰ったら、大して汚れていなくても毎日足を洗っている方もよくいらっしゃいます。アレルギーや暇つぶしで足を舐める犬もいますが、よくよく聞いてみると毎日足を洗っている為、指の間が常に湿った状態になり指間皮膚炎になっている犬もいます。

先進国では腸内寄生虫を退治した為に花粉症などのアレルギーが増えたというのも事実のようです(アレルギーが増えたのはこの為ばかりではありませんが)。重度のアトピー性皮膚炎は無理にしても、軽度のアレルギー(花粉症など)では寄生虫を『飼う』ことで、よくなるのかもしれないですね。犬のアレルギーも確実に増えているので、回虫を退治せずに飼わせておく方が良い?と、ふと思ってしまいます。と言うより、治療として使えたらステロイド剤や免疫抑制剤を使わなくてもよくなり犬にとってもいいんですけどね。

何はともあれ、何でも過剰に『清潔に』することは良くないのでしょう。大学生の時、定食のサラダの上に3~4cmのいも虫がいました。さすがにそのサラダを食べることは出来ませんでしたが、米粒くらいの虫を一緒に野菜炒めにしてしまったとしたら私は平気で食べられます。皆さんはどうでしょうか?

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2006年1月19日 (木)

乳腺腫瘍

今日、乳腺腫瘍の手術を行いました。無事手術は成功し、腫瘍も小さかったのでとりあえず飼い主様は一安心してもよさそうです。

人では出産経験があるほうが乳癌になりにくいそうですが、犬・猫では出産の有無が乳腺腫瘍の発生率に影響するという報告はありません。

私たちが早期の避妊手術を勧める理由はこの乳腺腫瘍の発生を抑えることにあります。初回発情以前に避妊した雌犬の乳腺腫瘍発生の危険率は0.5%。1回目と2回目の発情の間に避妊した場合8%。2回目の発情以降は26%という研究報告がありますので、これにのっとり飼い主様には説明しています。乳腺腫瘍抑制以外のメリットとしては、子宮蓄膿症、卵巣・子宮の腫瘍が挙げられます。

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